自分の名前も忘れるほど

あめちかる storyteller 鳥山美由紀( とりやまみゆき Miyuki TORIYAMA ) のブログです。

京都賞の思い出

京都賞の特設サイトが公開されました。

社会学者でもあるラトゥールが受賞していて、我が事のように嬉しい。

 


https://www.kyotoprize.org/2021

 


京都賞といえば個人的には有機ELの父こと、井口洋夫博士がご受賞の折に授賞式の末席に加えていただきました。

式典の前の奏楽の中に「赤とんぼ」があったのですが、そのことに触れられ「なんと美しいこと」と目を潤ませておられたのが印象に残っています。

 


先生は当時、丸の内のJAXA事務所におられました。所用で訪問した私のために、数十分もの時間を割いてくださいました。

用事を済ませて秘書の方に促されご挨拶だけ、と執務室にあがったところ「さぁ、こちらにおかけなさい」。優しくお席の隣の椅子をすすめてくださった時は、何かの門が開かれたかのような心地を覚えたものでした。

 


「とりやまさん、私は「亀の子」しか解らないのです。あなたのお考えをなんでもお話してください」。

唐突なリクエストでしたが、そこは一期一会の尊さだけは判る素人、「着物の帯」についてかねてより考え巡らせていることをお話し申し上げました。

ご傾聴の様子がまさに「無分別知」とはこういうこと、と腑に落ちるお姿でありました。ご質問までいただいたあと、「とりやまさん、あなたはお考えを広くお話になったほうがいいですね」と励ましのコメントまで持たせてくださいました。

先生の直筆は「達筆」という単語だけでは到底表現できない、静かで匂やかなお手でした。秘書の方も「皆さんおっしゃるんです、この筆跡を拝見すると心が洗われるって」。私が万年筆で、青色のインクを好んで使うのは、井口先生の影響も大きいかもしれない。