「いつものあのお味」を保ち続けることが最も難しい、と聞いたことがある。
喫茶店が、好きだ。
紅茶は、英國屋さんのオリジナルティー推し。まあまあお高いのんを含めて色々と茶葉を試してきたのだけれど、この出合いは忘れられないひとつだ。
朝摘みのビタミンカラーのブーケをもらった瞬間はかくや、と想わせる華やかなお花たちの香りが開いていて驚いた。水色も、ひまわりと紅花の間の彩りがなんとも美しい。 茶葉を拝見すると、リバティプリントのように美しい、マリーゴールド色とスミレ色の花弁が舞っている。
黄色系と紫系の、いわゆる補色の関係性が引き立て合っていて、目にも楽しい。香水のように香りが変化していくので、楽しみが続く。硬水を用意したり、汲みたての水やら酸素を含ませるための専用ポットやら用意しなくても、再現性が高いティーパックも秀逸。
嗅覚は最も原始的で本能に直結するとされるため、はっきりと好みが分かれるそうだ。
わたしは、このバランスが大好き。
そしてまた、新たな出合いを得た。英國屋さんの甘いものといえばシフォンケーキが代名詞、定番なのだけれど定番は、まだあった。
神戸英國屋さんのオリジナルクッキーが、予想を超える正しいお味な件。
顔立ちからは、「ざっくり1対1比で混ぜ合わせたタネを、天板にドロップして焼成。小麦粉のみっしりした香ばしさを味わう、素朴の極みなカントリー寄りの甘めのチャンクタイプ」かと見積もっていた。 似て非なるものだった。 軽い。ラングドシャ並みに軽いのに、あってほしい歯応えがきちんとある。スノーボールのように、ほろほろな軽さでもないテクスチャ。アーモンドが立っているようで、きしまない。
甘みもバターの主張も勝ちすぎないので、軽食代わりにもなりそう。 アガサ・クリスティーの映画の、お茶とクッキーをいただく描写と完全に一致。 甘みをしっかり感じたい時は、メイプルシロップを少しかけるとよいかも、とカスタマイズの楽しみが広がるオーセンティックさだった。
定番は、強い。