やはり私はお着物が好きだ、そう思う理由。
民族衣装はその民の骨格や土地風土、国柄の美しさを全肯定して最大限に引き出した結晶です。
特に和服は千数百年、その構造が変わらない類い希れなもの。中でも私が美しいと思うのは、帯結びが背中にあることです。
背中は自分の意識が行き届かない、いわゆる死角です。仮に帯がほどかれたら、着衣は乱れて大変な事態になるため、急所といえます。
また、美しい帯結びは装っている自分自身は楽しむことができません。
私はこの帯結びに和を貴ぶ社会性と他者への信頼の証、また『お蔭様』の精神をみています。
本人には不可視な部分に着衣の要となる結び目かつ最も華やかな要素をおく、和装。
その美意識もろともまとったなら、やまとなでしこはもちろん、殿方が着てはったら二度惚れされますよ。下手な洋装にこじゃれはるよりも、よっぽど男ぶりが上がります。