私淑している知の巨人は多いのですが、岡潔もそのおひとりです。
言わずと知れた世界的数学者ですが私は特に、幼き人たちについてのエセーにひかれます。
例えば、下記のようなくだりです。
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たとえば、生後16カ月の孫が手に何かを持とうとするとき、1つのものを持っている場合は、次のものを持たそうとすると、最初のものを手放してしまうことに気がついた。口の中に何かを入れているときも、次のものは最初のものをぷっと吐き出してからでないと、入らない。これは自然数の「1」の練習であると思った。
それまで私は順序数と自然数は似たようなものだろうとタカをくくっていたのだが、順序数がわかってから自然数に進めるのだという見当がついてきた。
もっと観察していると、自然数の「1」がわかるには実にさまざまな全身での確認をしている。体じゅうを動かして、やっと「1」が手に入るらしい。
この瞬間に情緒が動いたのである。まさに童心の発動だ。そうだとすれば、この童心「1」がフルに動いて作動した情緒というものを、なんとか子供になっても青年になっても、また大人になっても、作動できるようにすればいい。
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引用元
https://1000ya.isis.ne.jp/0947.html
とりやまみゆき